みちとの遭遇〜ほとんど映画日記〜

限りある人生の中で映画や本は自分の枠を超えた新たな経験を得られる場所。それは未知なる世界・・・。

41ZvwEC4MnL__SS500_.jpg原題:「THE INVASION」2007年・アメリカ(96分)
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
脚本:デヴィッド・カイガニック
原作:ジャック・フィニイ「盗まれた街」
出演:ニコール・キッドマン/ダニエル・クレイグ/ジャレミー・ノーサム/ジャクソン・ボンド


ある日、スペースシャトルが原因不明の事故で地球に墜落。その残骸の中には、謎の生命体が付着していた。やがて間もなく、感情を失ったように人間の行動を変質させる謎の伝染病が発生する。そんな中、精神分析医のキャロル(ニコール・キッドマン)は、友人の医師ベン(ダニエル・クレイグ)と共に、この病原体が地球上のものではないことを突き止める。そして分析の結果、そのウィルスは人体に進入し潜伏すると、睡眠中に遺伝子を書き換え、人間ではない何かに変えてしまうものだと判明する。さらに、最愛の息子オリバー(ジャクソン・ボンド)がウィルスの拡大を阻止する鍵を握っていることも分かるが、元夫に預けていたオリバーの行方は分からなくなってしまっていた…。(allcinema)

原作はジャック・フィニイの「盗まれた街」。
「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(1956年/ドン・シーゲル監督)、「SF/ボディ・スナッチャー」(1978年/フィリップ・カウフマン監督)、「ボディ・スナッチャーズ」(1993年/アベル・フェラーラ監督)に続く本作は4度目の映画化。
監督は「es[エス]」「ヒトラー〜最期の12日間〜」のオリヴァー・ヒルシュビーゲル。

この作品が完成されるまでかなり揉めたらしい。
ヒルシュビーゲル監督が一度は完成させた作品にワーナーが撮り直しを指示し、監督がこれを拒否したそうだ。プロデューサーのジョエル・シルバーがウォシャウスキー兄弟(「マトリックス」シリーズ)に追加撮影を依頼。その後にストーリーが大幅に変更されたために今度はジェームズ・マクティーグ監督(「Vフォー・ヴェンデッタ」)が残りを撮影したらしい。
IMDbの監督欄にはオリヴァー・ヒルシュビーゲルの下にJames McTeigue (additional director) (uncredited) と記されている。

監督と制作側の意見が対立し、監督の創りあげたいものと、興行的なことを考え創りあげて欲しいものとの差が生じるのは残念に思う。
ヨーロッパの監督がハリウッドで映画を作るとことごとく失敗する原因はそこにあるのかもしれない。

2004年に制作され日本でも話題となった「バタフライ・エフェクト」は本来、監督が公開したかった内容が認められず、やむ無く仕上げたのが劇場公開版。監督は諦めきれず「ディレクターズ・カット版」を制作し、それがDVDの特典映像として収録されている。監督の本来撮りたかった「ディレクターズ・カット版」は劇場公開版よりさらに主人公が大きな犠牲を払う選択がされている。ラストに関わるカットをいくつか挿入することで印象はかなり違う。
不本意であっても、違った形で創りたかったものが陽の目を見ることができた作品はまだ良いのかもしれない。

<ネタバレ注意>

過去に映像化された作品は未見なので比較はできないが、テーマは決して悪くないと思う。
しかし、まとまりがなく、表現したかったことがはっきり見えてこない。

感染してDNAを書き換えられた人間は記憶も変わらず、平和的になる。
選択は二つである。人間の持つ暴力性を持ちながら争いの社会の中で生き続けるか、感染して平和な社会を築き上げるか。
感染した人間が増えたことで戦争は終結し、平和な社会が訪れたかのような報道がされる。
感染したベンは「我々と戦えば世界の悪を守ることになる」と言う。
人間が人間らしくある限り、争いごと、犯罪、戦争がなくならないという描写はかなりシニカルだ。

しかし、感染した人々がまだ感染してない人を襲う場面はかなり暴力的で矛盾を感じる。
彼らから逃げるキャロルの暴力性もすさまじい。自分や息子を守るために子どもを突き飛ばし、感染した人間を容赦なく銃で撃つ。

また、謎の伝染病は未知の生命体だが、その目的も明らかにされない。
人間の支配や侵略が目的ではないようだ。
キャロルが奮闘している間に、ワクチンが開発されあっけなくことは治まる。

撮影のトラブルがあったのは観賞後に知ったのだが、中盤あたりに不自然な流れの映像が差し込まれ不思議に思っていたが、編集でかなり手を加えられていたのなら納得がいく。
映像表現も統一性がなく、アクションシーンのバランスが悪いのも仕方がないのかもしれない。

一つの作品としては珍作、あるいは迷作の部類に入ると思うが、オリヴァー・ヒルシュビーゲル、ウォシャウスキー兄弟、オリヴァー・ヒルシュビーゲルがどこでどのように手掛けたかを考えながら観るとと別な楽しみ方ができる。
ニコール・キッドマンの美貌、オリバーを演じたジャクソン・ボンドの美少年ぶりも必見。

満足度★★
お薦め度★

ジャクソン・ボンド
ジャクソンボンド












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